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#71 アルジャーノンに花束を
先日、利用者さんの女の子から、障害を持つお兄さんの話を聞かせてもらう機会があり、聞き終えて僕は一冊の本を思い出した。
『アルジャーノンに花束を』
一時期流行ったSF小説だ。
女の子の話してくれるその表情と言葉から、お兄さんを大切に感じている事が僕に伝わってきた。そしてもう一人、お兄さんに言葉をかける利用者の男の子とお兄さんとの関わりも聞かせてもらえた。
僕は『〇〇ちゃんのやさしさはそういう所からくるんだね』と言ったら照れていたけれど、その女の子の物語の中で、やさしさはゆっくりと時間をかけて育ってきたんだろうと感じた。
そして、もう一つの物語『アルジャーノンに花束を』は、無垢な主人公と、彼を映し出す鏡の存在を対峙させながら、多くの人々が持ちうる複雑な心の揺らぎを描き出している。
無垢という存在の大切さ。無垢であり続ける事の難しさ。そして無垢と向き合った時に、自分自身がどう在れるかを考えさせられてしまう。
しらないことでまんまるなのに
知ると欠けてしまう物がある
その欠けたままの僕の姿で
雨の歩道にいつまでも立っていた
(『6月の雨の夜チルチルミチルは』という歌のワンフレーズから)